小説

藤村 樹からのお知らせ 小説『朝陽のぼるこの丘で ―ふね、とり、うま―』出版決定!

 お知らせです。  なんとこの度、小説2作目『朝陽のぼるこの丘で ―ふね、とり、うま―』が文芸社さんの方から出版していただけることが決定いたしました! わー、ぱちぱち。  現在、鋭意出版準備中です。  発売日など、詳細は...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』あとがき

 『旧・手術室の扉を開けてはいけない』あとがきです。  この小説は、私が初めて執筆に取り組んだ小説です。製作期間は大体2018年9月~2019年3月頃になると思います。  今回ブログ化するにあたり、久々に目を通したのですが…。...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程10 閉腹

公園の緑道  その日は、詩穂の退院日だった。詩穂は宵深の霊気により負傷した右腕の手術のため、大学病院に1ヵ月近く入院していた。大出血により志保は危篤状態となっていたが、誠司の現場での止血処置によって一命を取り留めていた。  詩...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程9 肝臓切除 (工程0の続き)

ICU(集中治療室)  黒石院長の生家を探索してから更に1週間程が過ぎた。あの後、誠司と詩穂は屋敷内を隈なく探したが、結局有力な手掛かりは何も得られなかった。  黒石院長の死後も、血染めの白衣の女の犠牲者は増える一方で、病院に...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程0 術前検討 (工程8の続き)

黒石病院 屋上  その日、黒石宵深は病院の屋上で、人知れず涙を流していた。空は相変わらず曇っており、遠くの景色は霞みがかっていた。 「また、1人で泣いているのかい」  後ろから声をかける男性がいた。宵深は声のする方を振り...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程8 膵臓全摘

医局  院長室を出た誠司と詩穂は階段を降りて、3階の医局に戻ってきていた。時刻は既に夜の10時を過ぎていた。詩穂は事件が起こってからもいつも気丈に振る舞っていたが、病院で夜を過ごすことに対する不安を隠しきれない様子だった。 「...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程7 十二指腸切除

院長室  黒石病院がある奥磨市は、周囲の市町村が統合されて30年程前に区画されたものだ。奥磨市の前身であった奥磨群は、元々は山間の金鉱から鉄鋼が採掘され、山間から平野に向かって開拓が進んだ地域であった。奥磨群でのみ採掘される『奥磨鋼...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程6 脾臓摘出

黒石病院 玄関ホール  志賀野と喫茶店で話をしてから更に2日間が過ぎた。この2日間は何故か誰も犠牲者が出ず、患者の搬送はスムーズに進行した。このように血染めの白衣の女が出現しない日があったのは初めてであり、凪のように静か過ぎて不気味...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程5 大腸全摘

7階 外科病棟  誠司がいつも通り朝の7時半に出勤すると、既に詩穂が7階の外科の病棟で仕事を始めていた。詩穂は病棟の患者を回診し終わり、ナースステーションへ戻ってきた所のようだった。詩穂はいつも着ている紺色のスクラブの上に長袖の白衣...
小説

藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程4 小腸切除

○症例1 32歳 女性  瀧田が死亡する事件があった日の夜、看護師の渡辺(わたなべ)は夜勤に当たっていた。渡辺は今年の4月に手術室勤務から一般病棟へ異動となったばかりであったが、協調を重んじる性格で、同僚達からの信頼も篤かった。しか...
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藤村 樹からのお知らせ 小説『朝陽のぼるこの丘で ―ふね、とり、うま―』出版決定!

 お知らせです。  なんとこの度、小説2作目『朝陽のぼるこの丘で ―ふね、とり、うま―』が文芸社さんの方から出版していただけることが決定いたしました! わー、ぱちぱち。  現在、鋭意出版準備中です。  発売日など、詳細は...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』あとがき

 『旧・手術室の扉を開けてはいけない』あとがきです。  この小説は、私が初めて執筆に取り組んだ小説です。製作期間は大体2018年9月~2019年3月頃になると思います。  今回ブログ化するにあたり、久々に目を通したのですが…。...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程10 閉腹

公園の緑道  その日は、詩穂の退院日だった。詩穂は宵深の霊気により負傷した右腕の手術のため、大学病院に1ヵ月近く入院していた。大出血により志保は危篤状態となっていたが、誠司の現場での止血処置によって一命を取り留めていた。  詩...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程9 肝臓切除 (工程0の続き)

ICU(集中治療室)  黒石院長の生家を探索してから更に1週間程が過ぎた。あの後、誠司と詩穂は屋敷内を隈なく探したが、結局有力な手掛かりは何も得られなかった。  黒石院長の死後も、血染めの白衣の女の犠牲者は増える一方で、病院に...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程0 術前検討 (工程8の続き)

黒石病院 屋上  その日、黒石宵深は病院の屋上で、人知れず涙を流していた。空は相変わらず曇っており、遠くの景色は霞みがかっていた。 「また、1人で泣いているのかい」  後ろから声をかける男性がいた。宵深は声のする方を振り...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程8 膵臓全摘

医局  院長室を出た誠司と詩穂は階段を降りて、3階の医局に戻ってきていた。時刻は既に夜の10時を過ぎていた。詩穂は事件が起こってからもいつも気丈に振る舞っていたが、病院で夜を過ごすことに対する不安を隠しきれない様子だった。 「...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程7 十二指腸切除

院長室  黒石病院がある奥磨市は、周囲の市町村が統合されて30年程前に区画されたものだ。奥磨市の前身であった奥磨群は、元々は山間の金鉱から鉄鋼が採掘され、山間から平野に向かって開拓が進んだ地域であった。奥磨群でのみ採掘される『奥磨鋼...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程6 脾臓摘出

黒石病院 玄関ホール  志賀野と喫茶店で話をしてから更に2日間が過ぎた。この2日間は何故か誰も犠牲者が出ず、患者の搬送はスムーズに進行した。このように血染めの白衣の女が出現しない日があったのは初めてであり、凪のように静か過ぎて不気味...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程5 大腸全摘

7階 外科病棟  誠司がいつも通り朝の7時半に出勤すると、既に詩穂が7階の外科の病棟で仕事を始めていた。詩穂は病棟の患者を回診し終わり、ナースステーションへ戻ってきた所のようだった。詩穂はいつも着ている紺色のスクラブの上に長袖の白衣...
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藤村 樹 ブログ限定小説『旧・手術室の扉を開けてはいけない』工程4 小腸切除

○症例1 32歳 女性  瀧田が死亡する事件があった日の夜、看護師の渡辺(わたなべ)は夜勤に当たっていた。渡辺は今年の4月に手術室勤務から一般病棟へ異動となったばかりであったが、協調を重んじる性格で、同僚達からの信頼も篤かった。しか...